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君を好きでなくなる日

.28 2014 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
 その想いは突然にやって来た。
 朗らかな春の陽気漂う冬の日。
 僕らは通い慣れたいつもの通りでデートをしていた。
 もはやデートと呼べないくらい、新鮮味の無い行路だ。
 僕らは小学校からずっと一緒だった。
 このまま結婚していつか果てるのだろうかと思うくらい、世界は僕らの関係を応援したみたいで、二人はずっと同じ場所にいた。高校に上がってお互いの距離を理解してから付き合って、ほどほどに甘くまろやかな恋物語を楽しんだ。
 二人の想いは同じくらいだと思っていた。
 自分がもっとやさしい人だと思っていた。
 差し出された手は全て取って、望むことは成し遂げて来た。周囲から馬鹿にされるくらい馬鹿な関係だった。
 積み木のゲームは綺麗なタワーを保ち続けていると思っていた。何処までも高く、高く。けれどそう形容したように、何かの代わりに手に入れたものを上に積んで行っても、最初の頃に抱いていた幸福感はそこに重なって行かなかった。
 限りなく真っ直ぐのように見えて、実は斜塔よりも傾いていたんだろう。
 ヒビが入って行くような不気味な感覚と共に、僕はそれでも今まで通りの生き方を貫こうとした。
 そして、今日までやって来た。
 もっと大人になるべきだったのかもしれない。
 割り切ることを知るべきだったのかもしれない。
 でも、もう遅くて。
 これが初めてだから。次は上手くやろう。そう思えるくらい、強い心を持っていたら良いのに。
 隣にいる君は、僕が今何を考えているか知らない。あの頃とまでは行かないものの、やわらかな笑みを浮かべて、僕に話しかけてくる。
 僕はなんて残酷なんだろう。
 だって僕は君に本心を隠している。
 僕はもう、君を好きじゃない。
 嫌いということではなくて。でも、好きだとは、言えない。
 欠けてしまった。最初に抱いていた大切な気持ちは、もうどこかに掠れて消えてしまった。
 悲しいくらい、僕の君への気持ちは、空っぽだ。
 君といることを否定しようとは思わない。
 たぶん僕は、幸せではあると思うから。
 でも、その幸せは、好きな人といられることで得られるものじゃなくて、とても観念的なものだ。
 僕は悪魔みたいな気性の持ち主だったのかもしれない。
 だって今も君の言葉を受けて、笑みを返している。
 やさしくてやわらかな言葉を、紡いでいる。
 僕はたぶん、とても背徳的な人間だ。
 それでも君の傍にいることだけは、やめようと思わない。
 そこ以外に僕が居たいと思える場所は無いから。
 ここが僕の居場所だ。昔も、今も、ずっと。
 それだけを頼りに、僕はこれからも君と共にいる。
 歪な想いのまま、生きていく。
 狂い出した、時計のように。


今回は怖くて胸が締め付けられるような作品に仕上がりました。

元々のタイトルは『君を嫌いになる日』でした。
でも書いていく内に、そうじゃないことに気が付きました。
ずっと一緒の時間を過ごして、好きでいて。
そんな状況の時、好きという気持ちが変化する先は、たぶん好きじゃないだと思います。

好きだったはずなのに、いつしか心はそうでなくなっている。
俺もいつか、そうなってしまう人になるんでしょうか。
どれだけ好きだった人にでも、そう思う日が、来てしまうのでしょうか。

でもこの感覚を、決して否定は出来ない。
あるかもしれないのだから。

それを乗り越える、それにはどうしたら良いのか、新しい課題が、俺の前に現れたんだと思います。
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