深海より

.24 2016 .+*詩*+. comment(0) trackback(0)
 水底にいた。
 たくさんの嫌なことがあって、日の目を見ていたくなくなって、力を抜いた。
 普通なら、浮いていくはずなのに、心に積もった重たさが、体を底へ、底へと沈めて行った。
 陽の当たらないそこは、静かで、穏やかで、何も無くて、寂しかった。
 ここから出なきゃ、分かっているのに。
 少しでも上に行くことが、怖い。
 一番下なら、不思議な安心はあったから。
 だけど、それじゃダメだって、生きている限り、自分が、自分を責める。
 きっと、自分をダメだと思う誰もが、いつだって自分を責めるんだ。
 それでも、最初の一歩は、踏み出すには軽すぎるのに、踏み出すことを決めるのには重すぎる。
 頑張っても、努力しても、報われるとは限らない。
 可能性が、たくさんの未来が、希望より、不安を抱えてやって来る。
 一度沈んだ身体には、いつの間にか張り付いたたくさんの重りが、上へ行くことを阻もうとする。
 ずっとここにいたら良い。
 そんな風にして。
 でも、それじゃダメなんだ。
 ずっと自分を責めて、苦しめて、それで残る結果は、いっそう嫌いになった自分。
 今の自分が嫌いなら、そのままの未来には、嫌いなままの自分しかいないから。
 水底は、優しかった。だって、誰も自分を責めたりしない。それで良いなら、それで良いんじゃない、って、みんな、自分のことが大事だから、本当に諦めた人に、手を差し伸べたりしない。
 自分を救えるのは、責めるのと同じように、自分しかいない。
 深海から、もう一度、日の目を見に、浮かび上がらなきゃいけないんだ。
 今より少しでも、好きになれそうな自分になるために。


新世界より、に似てるな、とか思った。
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