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書けなくなったラブレター

.22 2015 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
 毎日のように書いていた。
 君への愛は尽きなかったから。
 溢れ出る愛を、文にしたためる。
 その作業は楽しかったし、君からの返事を楽しみにしていたから、書き続けることが出来た。
 だから、君からの返事が疎かになって行けば行くほど、俺の指先から出て行く文字の量は減って行った。
 返事を書くことを億劫に感じるような相手に送り続けることは出来なかった。
 そう、俺は返事が欲しかったんだ。読んで欲しい以上に、俺の言葉に対する君の言葉が欲しかったんだ。
 でも、君にとって手紙を書くことは、返事を書くことは、大事なことだとは思えなかったみたいで。
 最初は多かった便箋の枚数は減って、やがて文字に飾り気がなくなって、最後には返事が来るまでの期間が長くなった。
 単純に、ただ単純に、愛は失われたんだ。
 やり取りの量は、質は、愛の指標。
 あからさまに。見えてしまう。
 それでも、俺はめげずに、返事が来れば手紙を書いていたけど。
 ある日、とうとう手が動かなくなった。
 俺が手紙を出さなければ、返事は来なくなってしまうのに。
 いつ来るかも分からない返事のために、手紙を書くことは、もう出来なくなっていた。
 書かなければ、最後に出した手紙が最後のラブレターになってしまうだけなのに。
 この手紙を書き上げて、送ったとしても、これが最後のラブレターになってしまうかもしれない、そう考えたら、指先は震えるだけで、文字を書き出すことが出来なかった。
 そう、文字を書くために必要だったのは、インクなんかじゃなく、君への愛なんかでもなく、ただ、ひとえに君からの愛だったんだ。
 書けなくなったラブレターの上に、俺は透明なインクをこぼした。
 それはどんな文字の形もしていなかった。なのに、ただ一つの感情を示していた。


それはとても、当たり前のことで。

どうしようもないことだったんだ。
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