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乙女的ロシアンルーレット

.09 2016 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
「な、なあ!」
 引き金に指をかけた。

 三月の空。高校の卒業式を彩るのは、初めて見るくらいの快晴だった。
 卒業証書を入れた丸筒を手に、うちは今日も、今日もまた、隣を歩いていた。
「早いよなぁ……。俺、この前入学式やった気がするんやけど」
「そう? うち、結構長かったよーに思うけどなぁ」
 一日一日は短かったのに、積み重なった三年という月日は、うちにはとてつもなく長かったよーに思える。
「こんな感じやと、俺、気付いたらじいさんになってそうや」
「うわぁ、有り得るわぁ」
 一つ一つに一喜一憂して、ハラハラして、どぎまぎしてたから、そんな気がする。
 隣を歩くアホは前ばっか見てて、隣にいるうちのことなんて見てるのか見てないのか、よく分からんかった。いーや、多分、見てへんかったと思う。やから、三年間も、あっという間に過ぎた、って感じるんやろーね。
 そうやって、何度も諦めよーとしたのに。
「美沙はさ」
 そーやって、優しい声でうちの名前を呼ぶし。
「なに?」
 諦めが、つかんかった。
「名古屋の短大に行くんやんな」
「うん。半月後くらいには引っ越すよ」
 もう、何遍言うたか分からん。大阪と、名古屋と。簡単には会えへん距離になる、そんな事実を、繰り返し尋ねて。離れ離れになるってこと、何度も何度も確認させた。
 悪意なんて無い、って、分かるし。何遍も、歪な笑顔で答えるよーにして来た。
 今やって、そう努めた。
「遠いよなぁ、名古屋やろ?」
 やから、言わんといて、って。
「うん……。けど、意外と近いで」
 思ってんのに。立ち止まりそーになんのを必死にこらえて、明るく振る舞う。
「寂しい?」
 それでも、少しだけ、弱音が漏れた。
 軽やかで、楽しくて、明るい、そんな関係やったし、それより深いところに行くのが、怖かった。うちは友達で、友達でしかなくて、友達以外の何にもなれへん、って、いつからか、勝手に決めつけてた。それでも、諦めが悪いうちは、いつか向こうから好きになってくれるかも、なんて期待して、無為な時間を過ごして来た。
 初めて名古屋行きを伝えた時も、離れ離れになるって分かったら、心の内を明かしてくれるかもって思ってたのに、さっきみたいな感想が出たくらいやった。
 せやし、今日も、空回りの期待をして。
「まあ、そりゃな」
 期待は、外れた。
 返って来た言葉は、それだけで。
 うちの方を一度だって、向いてくれへんかった。
 少し先に、二人でよく行ったスタバが見えた。行ったらもう少しだけ一緒にいられるスタバ。逆に言うたら、行かへんかったら、それぞれの帰路に分かれる分岐点だった。
 お別れ。お別れ。
 疑似デートみたいに、休みの日に会ったりしたことなんて、ほとんど無い。一緒に帰れる時間だけが、うちに許された二人きりになれるチャンスで、一度も活かせへんかったうちは、本当にバカな奴やと思う。
 スタバはもうすぐそこまで迫っていた。
 まだ、伝えてへん。まだ、伝えられてへん。
 うちの気持ち。好きだっていう、たった二文字の言葉。
 けど、これだけ期待しても、どんだけ思わせぶりな態度を取っても、バカで無頓着やし、全然気付かんくて、下手し「あいつめっちゃ可愛いよな」とか、誰々がどうだ、なんて話を聞かされた。「あんなええ子があんたと釣り合うわけ無いやん」とか言うて、「あんたにはうちがいるやろ?」とか言おうとしたんやけど、結局、それは言えんくて、あかんかった。
 やから、今日も、あかんのやろなぁ……。
 これで、お終いなんやろなぁ……。
 そう思たら、泣きそーになって、耐えられんくて、うちはあんたと一緒にいたいんやって、なんで今まで言えへんかったんやろって、自分を責めたくなって、また泣きそーになって、それで、もう訳分からんくなって、でもやっぱり、言わな一生後悔する思て、気付いたら、うちはあんたのこと呼んでた。

「ん? どした?」
 なんで、なんであんたは、そんなに何も考えてへん顔が出来るん?
 なんで、なんでうちの気持ち、ほんのちょっとでも、気付いてくれんかったん?
 そしたら、こんな苦しい気持ち、ならんで済んだのに。
 自分のこめかみに拳銃を押し当てて、引き金を引く、そんな感覚。成功する、つまり、空なんは一通りだけで、失敗する、って弾丸が、無数に入ってる。一回切りの告白で、それが成功する確率なんて、どんだけ低いんやろう。
 けど、ここで「なんでもない、気にせんといて」なんて言うたら、こん時の自分を、永遠に責めたくなるやろから、ついに、うちは覚悟を決めた。
「う、うちな――」
 あかん、泣く。
 泣き顔なんて見せたこと無いから、「え、何、何なん、どした!?」とか、あんたがあわてふためいてんのが見えた。
 それが、逆にうちの心を落ち着けてくれた。
「あんたのことが、好きやってんで」
 あれ、なんで過去形にしてしもたんやろ、とか思った頃には、引き金は、引き終わってた。
「はっ!? へっ!? 何て!?」
 そんで、アホやなぁ、って思た。
 もっかい言わせるんかいな、って思いつつ、もうこの際や、思て、もっかい言ってやる。
「やからな、うちはあんたのことが好きやの!」
 もう後戻りは出来へんなぁ、って考えたら、やっぱり、辛かった。けど、答えを聞くまでは頑張ろーって、自分を奮い立たせた。
「それって、その、美沙が、俺を、ってことでええの?」
「あんたアホなん? この状況で言うてんねんで?」
「そ、そーやんな、やんな……。え、美沙、ほんま、ほんまに俺でええの? 間違ってへん?」
「ええからはよ返事してーな! うち今、めっちゃ恥ずかしいんやで! 付き合うてくれるんか、くれへんのか、はよ言うてや!」
 ほんっっっと、このアホはアホや。けど、こんなアホを好きなうちは、もっとアホなんやろーなぁ……。
 泣きそーになりながら、うちは答えを待った。
 照れくさい時にする、髪の毛くしゃってする仕草を何遍も繰り返してから、やっとうちの方を向いて、ゆっくり、口を開いた。
 どんな答えが返ってきても、最後は、ありがとうな、って言えるよーに、うちは、決心を固めた。
「いや、そりゃ……美沙がええんやったら、俺はほら、喜んで、な?」
 奇跡みたいやと思った。
 本音を言うたら、ごめんな、って言われるんやと思ってた。やから、なんか、嘘なんちゃうやろかって、信じられへんかった。
「ほんまに……?」
「ほんまやほんま。さすがに嘘とかつかへんて」
「ほ、ほんまやんな、あんた、うちの彼氏で、ええんやんな、な、な、な?」
「そう言うてるやろ?」
「嬉しい……嬉しいわ、ほんまに、ほんまに嬉しい……」
 結局、うちは泣かずにいられへんかったし、思わず抱きついて、何遍も胸をぽかぽか殴ったった。
「なんで今まで気付いてくれへんかったん。ほんま、もうちょいで諦めるとこやったんやで、アホ、アホ!」
「いや、ほら、さ、そうなんやろか、って思ったことはあったけどな、思い過ごしやったら恥ずかしいな思て、結局確かめられへんかってん……ほんま、ヘタレやわ」
「ほんまやで。うち、許さへんしな。この借りは、一生かけて返してもらうしな、覚悟しーや!」
「はは……望むところや」
 うち、きっと酷い顔してる。
 酷い、幸せそーな顔してる。
 ほんま、言うて良かった。
 言わんかったら、どうなってたんやろ。
 きっと、いつまでも後悔してたんやろな。
 ほんまに大変なんは、これからなんやろーけど。
 それでも、気持ち押し殺したまんまの自分より、絶対、良かったと思う。

「うちな、今、ほんまに幸せや」

 よう頑張ったな、自分。
 そう言うたげたら、これまでずっと悩んでた昔の自分が、やっと、笑顔になった、そんな気がした。


( ´゚ω゚)「コテコテやーーーん!!!」

はい、もうこれは酷いですね。下手に部隊を関西にしたら、こんなことになりました。
これでも京都住みなので、よりリアルに近いとは思いますが、思いますが!

( ´゚ω゚)「今時誰もこんなん言わへんよ!!!」

アクセントや、言葉の端々がそうなることはあっても、よっぽどきつい人やないと、ここまで言ったりはしません。ただ、アクセントなんですよねー、なんて文でどうしようもないので、ある程度きつめにしました。

後、俺はあくまでも神奈川生まれなので、真正の関西弁(その地域ごとに根ざした方言)は分かりませんし、各地のそれが混ざっていると思います。
少なくとも、今回は京都弁ではないですし、大阪弁に近いんじゃないかな、とは思います。

っていう余談はさておきですね、今回の目的は、お別れのシーズン、胸に秘めたままの気持ち、伝えないままでお別れするの?っていうことを言いたかったわけです。

まあ、色々ありますからね、何でも言うのが良いって訳じゃないですけど、恋心は、自分あってのものですから、自分を大切にしましょう。自分が悔いない、そんな選択をして欲しいです。

伝えないまま、ずっと想うのも美徳かもしれませんが、伝えたら、変わるかもしれませんよ。
あなたにまだチャンスがあるのなら、ぜひ、それを最大限、有効に活用してください。

応援しています!((´▽`*))
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