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落涙

.06 2013 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
「ねえ、どうして泣いているの?」
 そんなつもりはなかった。
「我慢しないで」
 彼女のぬくもりを感じる。
 俺はやっと涙をこらえず泣くことが出来た。
「良いんだよ。私はあなたの味方だからね」
 彼女と俺の間柄はひどく歪なものだろう。
「あなたの涙は私がすくってあげるから」
 そんな言葉がもらえる俺は幸せなんだろう。
「それでも、俺は、自分が孤独だと思ってしまう」
「そうね……。なら、あなたが独りじゃないと思えるまで、私が手を握っていてあげる」
 どうして俺は、このやさしさに巡り合えたんだろう。
「俺は今、悲しいのか?」
 なぜ、涙は落ちる。
「俺は今、寂しいのか?」
 なぜ、つう、と。
「それは、あなたが分からなきゃ」
 そのやさしさが、俺を救うのなら、俺は彼女に、何をあげれば良いだろう。
 やさしさをやさしさで返すのでは、少し足りない気がする。
 今はまだ答えを知らないから、俺は彼女の手を握り返した。
「ねえ、涙を流せる人は、強いんだよ」
 彼女は笑う。
「そんなに驚いた顔をしないで」
 俺の目元から涙をすくいとる。
「助けてって言える人は、助けてもらえるんだよ。それと同じ」
 俺は、助けてほしいんだろうか。
「理由がどうであろうと、私はあなたの力になってあげる」
 またあふれる。
「ごめんね、こんなこと言ったら、また泣いちゃうよね」
 ああ、俺は――
「でも、泣いて良いんだよ。泣けなきゃ、辛いよ」
 俺は、こんなにも素敵な人と、巡り合えたんだ。
 涙がすう、とひいていく。
 彼女は泣いて良いと言ったけど、俺は今、あえて泣かないでいよう。
 本当に苦しい時、その時に、彼女に身を委ねよう。
 だから――
 俺は彼女を抱き返す。
「俺を支えてほしい」
 なんてかっこ悪い顔をしていることだろう。
「いつかお前に、泣いて良いよって、言えるまで」
 そんな顔でかっこつけても、酷く聞こえが悪いだろうけど。
「うん。その日を待ってるよ」
 彼女はその言葉を受け入れてくれた。
 今さっき決意を固めたのに、俺は泣いていた。
 この涙は、幸せ者の涙だ。
 俺はこの人を自分の一部だと思えるほどに、強く生きよう。
 どんな時だって、俺は独りじゃない。そう言えるようになるほどに。
 好きだよ。
 口元だけを動かして、俺は彼女を抱く腕に力を込めた。


これは俺の持論ですが、男には、馬鹿みたいにカッコつけたい瞬間が、あるんですよ。
護ってやるとか、俺が付いててやるとか。性懲りもなく、前に立ちたがるんですよ。
下手したら虫が飛んで来るだけでもぎょっとするのに、言葉と理性で迫り来る怖さを何とかしようとする。
立ち向かう背中を、見て欲しくなるんですよ。
でもカッコつけるためには、ちゃんと後ろにいてくれる人が欲しい。
独りよがりのカッコつけだけど、そこには、ちゃんと護られてくれる人がいる。
そうして初めて、男は男であって、良かったと思える気がします。

何だか別作品の後書きみたくなりましたが、きっとここで泣いていた彼が、いつか彼女を守ってあげる強い男になると、思います。


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