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Goodbye eighteen

.04 2013 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
 誕生日を明日に控えた夜、俺は四条烏丸の交差点を眺めながら小さなカフェの一角にいた。
 ざわざわと歩く人たちの中には、俺と同じような境遇の人たちもいることだろう。
 十八が終わる。十八という歳は、不思議な重みがあった。
 それは十九には無いだろう。そして二十になった時に降り掛かるそれは、今度はあまりに重すぎる。
 十八という年齢は、小さな重みが肩にのしかかる、心地よい時間だった。
 目の前のジンジャーエールが静かな心を揺さぶる。心地よくも、静かな時間。十八の俺は、何かを為せただろうか?
 人生における一つの節目を、俺は満足の行く形で迎えることは出来なかった。見失った末の進学は、後悔こそ無いものの。決して満足感を与えることは無い。俺は今、漠然とした気持ちで生きている。何も目標が無く、ただ呆然と生きているだけだ。
 呆然と、十八を終えてしまう。十九になること自体は、別段怖くはない。十九なんてものは、何でもない存在なのだから。十九としての一年間は、不便さを痛感するだけの時間になるような気さえする。
 俺の時間は、およそ一年凍結してしまうかもしれない。
 脇を通って行く男女が、俺を苛む。
 俺は、何をしているんだろう。
 雑踏を見渡しながら、俺は冬の世界にいるような感覚に襲われていた。
 今の俺には、隣に座ろうと思う相手も、隣に座りに来る相手もいない。
 そういう生き方をして来た。わざとそう振る舞って来た。一人でいる時、一人でいることを自分が好んでいるということにも気付いた。幸せな時間を彩るのは、こうして一人で大したことのないことを考える瞬間だった。
 だとしても俺の憧れた背中は、俺の見えるところにはもう無い。
 なろうとした自分の姿が、どんなものだったのか、今の俺には思い出せない。
 十八の俺は、進むべき道を誤ったのかもしれない。
 十九の俺に、ろくでもない道を歩ませることになったのかもしれない。
 今の俺は、あまりに静かな世界に生きている。
 本線を離れ、穏やかに支線を走る。こうした生き方をすることに、間違いは無いだろう。
 それはとても平穏で、静寂に包まれた世界。
 けれど多くの物語では、〝緩やかな死〟と表現されている。
 俺は生きていない。そう、生きていない。
 臓器は動き、脳も絶え間ない電気信号のやり取りを送っている。
 だがそれでも、俺は生きてない。だから俺は寂しげなピアノと、意味を持たない退廃的なテクノしか聞けないんだろう。
 頼るべき相手を持たない俺は、頼ることの不毛さを武器に、それを正当化している。
 目の間を共に歩いた彼女は、もういない。
 俺の瞳の奥に宿る想いに気付いてくれた、十八の少女はもう、どこにもいない。
 透き通った音と共に、グラスの中で氷が塔の形を変えた。
 あの頃は失われてしまった。
 俺が十八を迎えるように。俺が身にまとう服が全て黒に染まってしまったように。
 だから俺は、冷たく十八に終わりを告げるのだろう。
 俺は残酷な人間だから。未練がましさが何も生まないことを知っているから。
 今の俺が間違った道を歩み続けているというのなら、今はただ、その自分を否定しよう。
 あの頃はそう、まだ若かった。後になって、そう振り返れば良い。
 十九に期待する自分はいない。それでも、十八の俺には、もうさよならしてしまおう。
 色々あった。でも明日からは、それに引きずられず生きるから。
 安らかに、眠ってくれ。
 俺は立ち上がり、勘定を済ませてそっと大通りに出た。
 いつか十八を思い出したくなった頃に、ここをもう一度訪れよう。
 そう決めて。


あくまで小説です。
俺はこれを書いている時自室にいましたし、上記の内容も全てとまではいきませんがフィクションです。

とは言え今日で十八を終えるのは、事実です。
早かったか、と聞かれると、困るところですね。
だって大概そんなことを思うのは、残すところ後少しとなった頃で、感覚も特殊になっていることが多いですから。
ただ、もしイエスかノーで答えるなら、ノーといったところです。
長いとも言えませんが、短くは感じられません。
受験と、進学と。環境が劇的に変わったといっても、俺の生活はあまり変わっていません。
身分が多少変わったくらいです。もしも、の世界を語るのは好きではないですが、中学から高校に上がった時に感じたような心境の変化は、ありません。
電車通学も、学校に行って普通に家に帰るのも、慣れた行為なので、きっとそれほど何か感じることもなかったんだと思います。
次に大きな変化に見舞われるのは、いつになるんでしょうか。
明日、なんて言われたら困りますね(笑)準備してません(笑)

思いがけず暗い作風になってしまいましたが、夜の街を描くこと自体は、楽しかったです。
十八の一年間を振り返るのには、作品を遡るのが、手っ取り早いかもしれませんね。
全ての自分が、そこに詰まってるような気がします。

でも最後の数行に書いたように、地続きの明日ではあるけれど、新しい世界の始まりだと思って、気を新たに生きて行こうと思います。

ありがとう、十八の自分。唇がちょっと震えてしまいますが、そう呟いて、今日を終えることにします。
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