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Chained, Cursed

.14 2013 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
 いつからだろう。
 あなたを愛さずにはいられなかった。
 それは誰かが僕に書き込んだプログラムのように絶対的で、揺るぎなくて。
 あなたを見かければ愛しさを感じ、あなたを見失えば寂しさを感じる。一種薬物的なまでに依存する僕の心は、バラバラにされて、再構築されたみたいだ。あなたを愛して、憎んで。一切合切をあなたに注ぐ。
 僕のありとあらゆる感覚があなたのために差し向けられる。もとの僕まで打ち捨てて、僕はあなたに何を求めているんだろう。あなたは最後まで僕には何一切返さない。波の如く押し寄せる愛を飲み干す。けれどその波の正体は大海原に流れ込む河川のレベルで、あなたを突き動かすには至らない。
 じゃああなたに見せつければ良いと思って。ずっと、もっと、あなたを愛せばいつか報われると思った。何時の間にか愛すことが全てになっていた。それは最早献身以外の何ものでもなかった。僕の行いはよく教育を受けた執事のそれに似ていた。
 愛せれば構わないなんて、僕はもう行き着いてしまった。脳の形変えられたみたいに僕の情愛は必然みたく書き換えられた。
 叶わなくても、叶うに近い立ち位置に居られれば幸せなんだって、刻み込む。
 昨日の僕があなたを愛していたら、今日の僕もあなたを愛すよ。今日の僕があなたを愛したから、明日の僕も愛してよ。
 あなたを想うのを、生まれる前からの呪いみたいに刻みつける。
 僕はあなたを想って生まれて、あなたを想い続けて生きて、あなたを想って死んで行く。
 縛られて呪われた、僕の人生は、誰にとって有用なものだろう?

 あなたのために殺した。
 あなたは愛されすぎるから。それだけ憎まれてしまう。
 あなたを傷つけようとした人。それらをみんな殺していった。
 もう、そうするしかなかったから。
 僕の中であなたを想う心がどんどん異質になっていくのが分かった。あなたのためを想ってさえいれば、何だって出来る気がした。この世の理に背いたって構いやしない。だってそれらは全て、あなたより大切じゃないんだから。
 あなたの前でだけ僕は出逢った頃の――生まれた日の――僕でいられた。目に見えない仮面を被って、あなたの前に立つ。あなたは見なくて良い。いいや、見ないでいてほしい。
 あなたの記憶には、誰より、何よりあなたを愛した人がいる、その程度が残ってくれたら最良だから。
 世界がいずれ僕を抹殺するだろう。そう予感しながら、来る日も来る日もあなたのために殺し続けた。
 もうあなたが気付く必要なんて無かった。強すぎる信仰心には神からの啓示の有無なんて関係無いみたいに。
 あなたはただ、僕に愛されていれば良い。
 どこかで涙がこぼれ落ちる音がしたけれど、僕にはそれが誰のものか分からなかった。本当に分からなかった。

 僕は処刑場に運ばれていた。
 目隠しはさせなかった。
 最後の最後まで、僕の視界にはあなたが必要だったから。
 昨日の夜のあなたは、今までで一番美しかった。僕のところに会いに来てくれたあなたの腫れぼったいまぶたが愛おしかった。あなたは最後まで、僕に返しはしなかった。それで良いんだ。僕はあなたに一つだけお願いをした。あなたのことを想わせて欲しいと。生きることと同義になったそれを、最後まで貫かせて欲しいと。だからどんな言葉ももう要らなかった。
 あなたのために生きた生涯。もうあなたにさえ、否定させはしない。僕はあなたのためになら、世界ですら相手取ったから。
 僕が今命を落とすのは、僕があなたを会いし尽くしたから。
 始まりはたった一つの些細な愛しさ。
 僕の心を覆い尽くした単一の感情。
 いつからか僕を動かす唯一の原動力になって、僕は今、それだけを残してこの世を去る。
 観衆の中にあなたを見つける。
 まっすぐに見つめていてくれた。
 僕は最後まであなたを失わずに済んだ。
 それだけが恐ろしかったことだから。僕があなたを愛せなくなること。あなたを失えば僕は内外共に崩れていっただろう。
 僕は首を処刑台に預けた。一思いに首をぶった斬るなんて、最高じゃないか。僕の心はその想いを保ったままに逝くんだから。
 ああ、愛しています。誰よりあなたを。何よりあなたを。
 だからどうか、最後にもう一つ祈らせて。
 僕がいなくなっても、幸せに生きて下さ――


昨日はすみませんでした!
まさか月に二回も更新出来ない日があるとは、いやはや、寝てしまうってのは本当に恐ろしい話ですね。気を付けます。

さて、今作は一昨日の作品『私を愛した人』の〝僕〟サイドの話になります。
これはヤンデレだとか気持ち悪いとか言われそうでもあるんですが、少なくとも俺はこの作品と、〝僕〟の気持ちを強く評価したいと思っています。
献身的になりすぎて自分の全てを捨て去るということまではともかく、愛に生きるという姿を、俺は良いと感じます。人を愛するというのが、実は自分のためだよって皮肉に気付きながらも、その残酷な真実を乗り越えて、愛を貫く。

もちろん描写として如何なものもありますが、そこは表現上の効果だと思って下さい。実際はkill somebodyなんてダメです。
でも世界すら相手どれるくらい誰かを愛せたら。
満たされ得ないと思っていた器でさえ、溢れてしまうかもしれません。
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