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それはつまり――君がための生ということ

.05 2013 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
 現代って言うのは、時に不便だと思った。
 自分より五つも年下の人間が、世界を相手に闘っていると知らされるのだから。
 片や俺は無意味に太った教授の、覇気に欠けた講義を耳にねじ込む日々。
 どうしてこうなったのか、悩まずにはいられない。無下に重ねた十数は、俺の生にどんな意味を与えるのだろう。
 これと同じ歳月を後いくらか続けて死んでしまう。そんな気がしてならない。
 今日と同じ明日があって、明日と同じ明後日があるのなら、無価値な日々の連続が、未来永劫に亘って横たわっている気がしてならない。
 そうして自分が生まれて来た意味を求め彷徨う内に、見つけたとしても遅い年齢になってやしないかと恐怖心に苛まれる。
 自分が何のために生まれたのか。この国じゃ幼子の内から、それが分からないことは好ましくないと教えられる。
 俺の友人はそんなものは無いと言い張った。自分は現実的な人間だから、そう添えて。
 けれどもしそうなのだとしたら、人間はどうやって何十年もの時間を生きて行けるんだ? あるいは明日死ぬのだとして、俺はその断片すら掴めずにこの世から消えてしまうのか?
 塵になればそんなことも考えずに済むのかもしれない。けれど死というものにたどり着くためには、生を送らねばならない。
 仮に〝人は死ぬために生きている〟のだとしよう。
 だが死は目的ではない。マラソン選手がゴールに行き着くことではなく、表彰台に立つことを目指して走るように、終着点は列車でもない限り目的にはなり得ない。
 死は終着点であって、生を支える柱にはなることは出来ない。
 だから人は死に向かって歩いているとしても、その歩みを支える原動力が必要なのだ。
 何のために生きるのか。
 それがずっと気にかかっていた。
 話を元に戻すとしよう。現代って言うのは、不便だと言った。
 世界。人が知るそれは、日を増すごとに偉大なものになって行く。尊大で雄大な世界を知って、ちっぽけさは霞んで行く。
 道端に咲いた無名の花の美しさにいずれ気付かなくなってしまうように、ささやかさが、今の人間の心には物足りなく感じられてしまう。
 けれど人の心の大きさは変わらない。いつだって人の本髄は同じまま。それだから一層乖離していく二つの距離が、人を苛む。
 だから見えにくい。けれどそれは偶然に、突然に現れた。
 それは実に細々とした可能性だった。僅かに垣間見えたその糸を手繰らなければ行き着きはしなかっただろうが、俺はそれを手繰った。様々な運命の悪戯もあって、俺はその先にあるものを見た。
 生きること、それはつまり――
 ささやかでおだやかな、それでいて何より美しい。
 それはつまり――君がための生ということ。
 ああ、なんて単純なんだろう。なんて簡単なんだろう。
 けれどその美しさは小さな世界全てを彩る。
 俺は君のために生まれて来た。君を幸せにするために。他のどんなことだって、それに比べれば大切なことじゃない。
 何かを動かしたり、何かを変えたり。そういった世界の記録に刻まれるようなことをする、そんなことは必要ではなかった。
 この生の全てを捧げてでも君を。君を幸せにしたい。
 それはどんなことより美しくて、生を輝かせてくれるように思えるから。
 もうどこにだって自己嫌悪の入り込む隙間はない。
 君がための生が、これからの俺の生の全てに、なるのだから。


作品が示す主義主張って、常に一本の大筋に沿っていなければならないとは、俺は思わなかったりします。
あの作品とこの作品は真逆のことを言っている。矛盾している、そうじゃないと思うんです。むしろ俺の中では、別の見方すら出来る方が良いとさえ思います。だって人の生き方は様々なんですから。様々な主義主張のキャラを書くためにはその姿勢こそ必要なんじゃないかな、と。

まあそれはともかく、今作もそんな中の一つではありますが、その中では俺自身の考えがかなり色濃く反映されたものに仕上がっていると思います。
テレビとか見ていると、何才の若さで、とかありますよね。あんなの見てると、自分って、って思ってしまいがちです。
そしてもって親にあの子みたいになりなさいよ、って言われて。けれどよくよく考えると俺が欲しいのはそこじゃないなって思うんです。
やっぱり、大切な人を幸せにすることが、俺が俺として生まれた意味、生きる目的にしたいこと、なんです。
それは世界に対比すれば実にちっぽけでささやかなものだけど、俺という人間の小さな世界を埋めるには、それほど大きなものは他にありません。

だから大切な人のために生きる。
それが俺の何よりの目的に、なっています。
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