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冬の夕暮れ、ベランダで

.24 2014 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
「なんで」
「あんま近くに寄んない方が良いぞ。身体に毒だからな」
 タバコを吹かす。俺にこれを教えたのは、誰だっただろうか。
「答えてよ。なんであたしを襲わなかったの」
「タチの悪い質問だな。どう見たら俺がそんな悪い男に見える」
「悪くなってよ。ねえ、聞いてる?」
「聞いてるよ。バストが三センチデカくなったんだろ?」
「違うわセクハラオヤジ!」
「いてっ、蹴んなよ、折れるだろ」
「こんなので折れるわけないじゃん」
「いきなりマジレスすんなよ」
 なんでこうなったのか、過去の俺に、問いただしてみたい。
「度胸が無かったの、それとも、隠したいことでもあるの」
「どっちでもねえよ……」
 ああ、こうやって星空をふいに見上げるようになったから、もう、若くはねえんだよなあ……。
「じゃあなんでよ……。ここにどうぞお食べ下さいって、生のJKがいんのよ、なんでいつまでも良い人ぶってんのよ!」
 怒鳴られると少し、耳がキーンとする気がする。
「年取ると、相手のこととか先のこととか、考えたくなくても考えるようになんだよ」
「あたしのことより、自分のこと、考えなよ……」
 自分の半分も生きてない少女に、俺のことを考えられる。滑稽で、つい笑ってしまった。
「何がおかしいの」
「なんでさあ、俺とお前は今、出逢ったんだろうな」
「どういうこと?」
 ほんの少しだけ、本音が漏れる。
「十年経ったら、お前、いくつだ」
「二十六だけど……」
「その時お前、何してると思う?」
「そんなのわかんないんだけど。進路だって全然考えたこと無いし」
「そうだろ。俺はきっと、今と同じような暮らししてるだろうけどな」
「それがどうしたのよ」
「今と同じような気持ちでいられると思うか?」
 自意識過剰だとか、二十年も前なら、考えたかもしれない。
「何よ、それ……」
 自分の気持ちを馬鹿にしてると、こいつは思うだろう。俺もきっとそう思った。そのくらいの年なら、未来よりも今の方が、ずっと輝いて見える。そしてそうやって生きてしまえば大抵、輝いた未来は手に入らない。
「後悔するだろうな。時が経てば、きっと」
「なんでそんな女々しいの」
「現実を知った男なんだよ、俺は」
「かっこよくないよ。その年になっても夢とかさ、追ってよ」
 そういう人もいる。テレビを観れば、同い年くらいの選手が、諦めなかった夢を、叶えていた。それを見た一般人が、私も勇気をもらったなんて、安直なコメントをしていたのも見かけた。だが俺には無理だ。俺はどう頑張っても、ただのおっさんでしかない。
「無理だな……」
「あたしじゃ支えに、ならない?」
「なんでこんなおっさんに、そこまでこだわんだ? おっさんが好きなのか、ってだから蹴んなよ」
「ほっとけないの。それに、あたしにやさしくしてくれる人、他にいないし……」
「そのうち会えるって、きっと」
「きっときっとって、男らしくない」
「哀愁が漂ってんだよ、多分な」
 背中がさみしいとか、そういう感じの。
「十年後、かあ……」
 こいつも同じように空を見出した。
 何時だったか同じように、こうして空を見た彼女のことを、思い出さずにいられなかった。
 彼女はもっと髪が長くて、女らしくて、胸もあった。もっと清楚で、しっかりしていた。だからこんな男に、早々に見切りを付けた。
「あたしさ、もしここで諦めて、別の生き方するようになったら、あっさり新しい人、好きになっちゃうのかな」
「さあ、どうだろうな。でも女ってのは一時に一人しか愛せないらしいからな、俺のことなんか綺麗さっぱり忘れて、そいつにぞっこんだろうな」
「そんなにあたしが軽薄な人間に見える?」
「見えないな。見えないけど、現実はそんな風に動く……」
 ある日突然、別の男の腕に抱きついてたりすんだから……。
「今さみしそうな目した」
「してねえよ」
「したって。あたし見たし」
「あたし見たしって、韻踏んでて良いな」
「話逸らさないでよ」
「こんなおっさんと時間過ごしてるより、若くてピチピチしたナウい奴らとつるんでた方が、良いんじゃないのか? 同じ過ちでも、若い奴らとやってた方がマシだと思うが」
 黙り込んでしまった。でもそろそろ区切りを付けた方が良いのかもしれない。お互い、振り返りたくない過去は、出来る限り増やしたくないだろう。
「あたしが他の男と一緒にいるの見たら、どう思う?」
「人によるが、応援するだろうな」
 少しだけ胸が痛んだ。でもそうするべきだと主張する自分が、確かに心の中に潜んでいる。
「またさみしそうな目した。ねえ、もっと素直になってよ……。過ごした時間のこととか、人のこと気にするんだったら、あたしのやり切れなさだって、分かるんでしょ?」
 日は傾き、辺りは暗闇に包まれ始める。大人が〝悪い〟ことをする時間が、もうすぐ始まる。
「今ここで、俺が突然お前にキスしたり、カラダベタベタ触ったら、どんな顔するよ、お前」
 発想がもう凄くおっさん的で、嫌気が差す。
「ほらな、今、嫌そうな顔した。だからやめときなって。もうメシとかもさ、持って来てくれなくて、大丈夫だから。いい男見つけて、そいつと幸せに――」
 ダメだって。無理すんなって。
「後悔なんてしないし、させないから。だからさ、あたしとずっと、一緒にいてよ」
 強がりの言葉も、かっこつけた決めゼリフも、時の流れに呑み込まれ、知らないフリした顔で、否定する日がやって来る。
 年を取るってことは、怖さを知ることで。
 年を取るってことは、失うことを知ることだ。
 そこに若さがガシガシと踏み込んで来た時、どんな顔をして良いか、分からない。
 だからあの時親は、あんな声で怒鳴ったんだろう。
 でも人はどこまで行っても、全てを失うことは出きない。
 だからこうして、不思議な衝動に、揺さぶられる。
 瞳に溜まった泪をすくってやる。どうして俺はこうなるまで放っておいたんだろうか。
「こんなやつにひとときでも情けを掛けたんだ。この先無下に捨てたって、罰は当たりはしないだろ。だから気が済むまでは、お前の好きにしたら良い」
 ぐしゃぐしゃの顔で笑う姿を見て、俺も下手な笑みを、精一杯浮かべた。
 ほんの少しなら、俺もまた、この背徳に身を投じたって、構いやしないだろう。


昨日は更新出来ず申し訳ありませんでした。寝てました。目が覚めたら23:50で、諦めました。


今日は普段書かない、珍しいタイプの作品に取り組んでみました。
俺のネタ提供先その二(その一は音楽)が、pixivの創作系イラスト、漫画たちなのですが、その中で時折見られる、女子高生とオッサン(ただしイケメンに限る)っていう俺にはよー分からんタイプが気になってたので、一度書いてみるか、ってことでやってみました。
見事に俺らしい意味不な仕上がりで、これが俺テイストだ!(ババーン)って感じです。

(´・ω・`)ねえ、なんでおっさんが好きな人、いんの?
分かりません。わかんないですマジで。
誰か教えて下さいな。

こういうタイプに一定量需要があるようなら、また書いてみます。
なかなか興味深かったので笑
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