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翼のはえた天使

.07 2014 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
 彼女は翼のはえた天使だ。
 追いかければ、逃げてしまうだろう。
 そっと、寄り添うようにしていなければ、いつか彼女は逃げてしまうだろう。
 彼女のことを、俺は好きなはずだ。たぶん、そのはずだ。人の歴史がそうであったように、俺もまた、いつからか単純に、純粋に自分の感情がどうだと言い当てることは出来なくなった。
 翼のはえた天使は、空を飛べる。
 いつかの天使が出来なかったことを、翼のはえた天使は出来てしまう。
 人に寄り添い、添い遂げることを彼女は――彼女たちは――しない。
 その翼が羽ばたけなくなることを天使は何より恐れる。
 その意思は、常に空に向いていなければならない。
 誰かのために心を砕いてはならない。
 それだからこそ、天使は逆説的に綺麗なのだ。
 俗なるものに触れはしない。触れれば、天使は堕とされてしまう。
 天使が美しさを保つためには、尊く在り続けることが求められる。
 だから、彼女はギリギリまで俺に近づいておきながら、すんでのところで、空へ舞い戻って行く。きっと、そうなる気がする。俺は彼女との距離をゼロに縮めることは出来ない。
 俺が最後に行き着きたいところは、結局のところ彼女の翼をもぐことと同じで、愛しているからこそ、そうしたくあり、愛しているからこそ、行き着いてはいけない場所だ。
 俺もまた、伸ばし得る限界まで腕を伸ばして、そして、後少しのところで、翻す。
 俺は彼女を手に入れてはいけないし、おそらくは、手に入れることも出来ない。
 天使を好きになってしまったこと、悔いるなら、まさにそこだろう。
 他の何を差し置いてでも、俺は真っ当に、普通に人間を好きになるべきだった。
 けれど天使を目の前にして、天使の気まぐれを目の当たりにして、果たして好きにならないでいられるだろうか。
 悪戯に微笑んだその表情が、俺を捕らえて離さなかった。気が付いた頃には、俺と彼女は背中合わせの距離まで、近付いていた。
 それでも、それ以上は、近付かないだろう。
 どう足掻いても、そこから先へは行かないだろう。
 彼女は恐れているから。その美しさが、ひとときの感情のために失われてしまうことを。
 彼女はきっと今も、間違いを犯しているという罪悪感を抱えながら、ここにいる。
 天使はもとより人間を愛してはいけないから。
 これは些細な気の迷い。そう考えているだろう。
 だが俺はそれで良いと、自分に言い聞かせる。
 それで良い。
 今この瞬間だけでも、彼女といられるなら。
 俺は喜んで、いつかの涙のために、今を享受しよう。
 それが、翼のはえた天使を好きになる、ということだから。


この距離が良い。
そういった作品です。
翼のはえた天使に置き換えても、いけるんじゃないかと考えてみると、やはりそのようで。
今が幸せだから、それで良い。
そんな、刹那的な考え。

とてもさみしい、けれど有り触れた、考え。
決して好きにはなれないけど、嫌いだとも、言い切れない。
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