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やさしさ

.14 2014 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
「それで、今度の彼女とは上手く行ってるわけ?」
 ミナミはそう言って、面白くも何とも無いといった表情でアイスティーを口にした。
「そうだね、今のところ、上手く行ってると言って良いと思う」
「そりゃあんたに甲斐甲斐しくされたら、そんじょそこらの女なら簡単に落ちるでしょうよ。あたしが聞いてんのはそういうことじゃない。あんたがちゃんと続くカタチでやってあげられてんのか、ってこと」
「さあ、それはどうだろうね」
「何事もほどほどが良いって言うのに、あんたは与えすぎる。だからいつか耐え切れなくなって、ひとりでに壊れて行く。自分を卑下しながら去って行くコたちを見て、あんたは本当に何とも思わないわけ?」
「それについては何度も言っている通りだよ。俺としては何処かに行ってしまうようなことは、決してあって欲しくないと思うし、それ故に俺は口にはしないけどこの身の全てを捧げる想いで尽くす。それが元で関係が壊れるのだとしても、俺からそれを奪ったら、それが俺である意味は、なくなってしまう」
「本当にあんた、間違ってるよ。耐え切れそうにない弱いガラクタ選んでは、笑顔で壊してくんだから」
 ミナミは窓の外を見る。俺の方は見たくないとでも、言いたいかのように。
「壊したいと思ったことなんて、一度として無いよ。でも俺は、今度こそそうしないようにって、より一層張り切ってしまうんだ。多分それが、負の連鎖を引き起こしてるんだろうけど」
「何も言わずにただ傍にいてやるだけの関係が、どうして出来ないんだろうね、あんたは」
「与えないと感じられないのさ。俺がそこにいる、意味が」
「そういう自己満足で誰かの幸せを壊してる。それを酷いと思わないのが怖いところだね」
「俺はただ、双方が幸せになれるように計らっているだけさ。それに、想い合うだけで幸せになれるなんてことの方が、幻想だ」
 ミナミはやはり、俺の方を見ない。頬杖をついたまま、外を見つめ続ける。
「なんでそんなに、ガラクタばっかり集めるわけ。ガラクタをスクラップにして遊んでるだけにしか、見えないんだけど」
「酷い言いがかりだね。俺は一度として軽い気持ちで誰かと近付こうとしたことは無いのに」
「でも自分の心に素直になり切れない。何が怖くて逃げてるって言うんだよ」
「怖い……?」
「そうやってはぐらかすとこ、本当嫌い」
「何もはぐらかしてなんかいないさ」
「……今度の彼女だって、そう遠くないうちに壊れるよ」
「俺の幸せを望んではくれないのかな、ミナミは」
「本気でなろうとしてない奴の想いなんて、あたしは尊重したりしない」
「そう見えるんだね、ミナミには」
「あんた本当に……嫌い」
 何も言わずに、カフェオレに口をつける。
 多分想いはお互い、同じはずだ。
 ここまで話がもつれるくらいに、互いの想いは同じところに起因している。
 それでも言い出せない。
 壊れてしまわないか、不安だから。
 壊してしまわないか、不安だから。
「あたしもう、行くから」
「サークルだっけ、この後」
「あんたには関係無いよ」
 ミナミは行ってしまう。
 後に残されたくしゃくしゃの紙ナプキンは、ミナミの心情を表しているように思えてならなかった。
「でもどれだけ頑張っても……ミナミ。絶対に壊さないという保証が無い限り、絶対に何処にも行かないって保証が無い限り、君にそれを言うことは出来ないんだよ……」
 あまりに特別で、大切すぎるから。
 手が届きそうで届かない、そんな絶妙な位置に置き続けたいと願う。
 傍に置いて、万が一にでも壊してしまったら。
 きっとその瞬間、生きている意味まで、失ってしまう。
「辛いけど、これが最善の選択なんだ……」
 それほどまでに本当は、ミナミのことが――
「好きなんだ」


なんかこう、最近書いてないなあこういうの、と。
一つ、読み切りを書きました。
(゜_゜)とうとうこんなものを書き始めたのか俺は、と幾分驚くばかりです。
はぁ驚きもねえオチもねえ、とまああんまり良い出来でも無いのかもしれませんが。

いやでもこう抜け出られないものなんだよっていう。

本当に、辛いものだね。こういうの。
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