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ジャンヌの一糸

.02 2015 .+*ショートノベル*+. comment(0) trackback(0)
 ジャンヌ・ダルクはオルレアンの奇跡を起こした。
 けれどこの世界に殺された。
 彼女はあまりに危険だった。
 世界の歪みを暴く存在だったから。
 オルレアンの奇跡は始まりに過ぎなかった。
 神様は、正直者に微笑む神様は、彼女に重荷を背負わせた。
 この世の悪を正せ、と。
 お前はこの世を洗い清める聖水であれ、と。
 彼女は聖者を率いた。
 彼女は悪を貫いた。
 その剣で悪を裁いた。
 切り裂いてしまった。
 聖女ジャンヌ・ダルクは紅い血に染められる。
 彼女は悪を知った。
 悪は毒ガスのように皮膚からでさえ入り込む。
 心を染める。
 彼女は聖女であらねばならなかった。
 神様がその役目を与えたから。人々が彼女にそう望んだから。
 善人が、悪人が、彼女の死を選んだ。
 彼女の死は一方的だったと言うけれど。
 誰も拒まなかったから、彼女は死んだ。
 復権、列聖、けれど彼女は帰らない。
 彼は嘆いた。
 彼女に恋をしたから。
 彼女は彼の生きる小さな世界を救う希望だった。彼に生きる望みを与えてくれた。彼女の微笑みが、彼に力をみなぎらせた。
 戦争が終わり、彼はその浅ましさと愚かさを知る。
 何のための戦争なのか。その理由を、理解はしたし、納得も出来なくはなかった。自身が生きる国、後にその国の民であることを誰もが誇りに思う国のために闘うことは、尊く、そして美しい、そんな説明は、初めは彼の心を駆り立てた。
だが、彼が手にかけたのが、彼が手にかける必要のあった者なのか、それは定かではない。
 彼が初めて剣を手に取った時、彼は心が震えるのを感じた。国のために闘う自分はなんて勇ましく、輝いている存在なんだと考える彼は、戦争を結局は知らなかった。
 彼が初めて人を斬り殺した夜、彼は心が崩れるのを感じた。自らが内側からぐちゃぐちゃになって行くような、そんな不可思議な感覚。斬りつけて回っていた時には、何も苛まなかったのに、夜になり、他の兵士が眠るとふいに、その恐怖が襲って来た。
 眠れぬ彼は、一筋の涙をこぼしていた。
 自分はなんて恐ろしい人間になってしまったのだと。
 そんな彼を慰めるかのように、彼女は光に溢れた言葉を与えた。
 彼は救われたと思った。
 そしてまた剣を手に取った。
 だが彼は、彼女にそうさせたことを悔いた。
 何を以ってして、人は、世界は、神は、彼女に人を殺すための美しい言葉を口にさせたのか。
 麗しい少女だった。
 貧しくても良い。着飾らなくても良い。
 村に住む淑やかで麗しい少女でいたら。
 彼は求婚していたのだろう。
 彼女を駆り立てた全てが、彼女を止めようともしなかった自分が、彼女に救われてしまい、彼女に救われようとした自分が、彼はあまりに憎らしかった。
 彼女に救われたその日。
 彼女が去った後の地面には、まばゆい輝きを放つ髪が一筋落ちていた。
 彼はそれを拾い、それからずっと身に付けていた。
 戦争が終わり、国は救われ、日々は平和へと向かい歩き始めた。
 その中で彼だけが、ジャンヌを想い、その一糸を抱いて生き続けた。
 世界が彼女にかけた呪いが、どうか空の果ての国では雪がれるように、と。


昨日の更新忘れてた。

はい。
なんかこう、こういう作品は批判が来そうで嫌です。
批判はしないでください!←
叩かれるのは嫌。
よく批判があってこそのびるとかなんだとか言われますが、俺、Mじゃないんで。

良いよ。良いと思った人だけが良いと思って、そう思わない人はそっ閉じしてくれたら。

あの役目を負わされなかったジャンヌと結婚したい。
とか、思ったりするのです。
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